報告書・提言・意見

「職業紹介事業の許可基準の改正について(案)」に対する意見

厚生労働省職業安定局需給調整事業課の「職業紹介事業の許可基準の改正案に関する意見募集」に対し、JILIS個人情報保護法研究TFパブコメ検討WGから以下の意見を提出しました。


PDF版

2022年6月23日
一般財団法人情報法制研究所 個人情報保護法研究TFパブコメ検討WG
(鈴木正朝、高木浩光)

意見1

該当箇所

「『個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置』として以下のものを加える。…… (2) 個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、本人の同意の下で本人以外の者から収集し、又は本人により公開されている個人情報を収集する等の手段であって、適法かつ公正なものによらなければならないこと。」

意見

「本人により公開されている個人情報」であっても、職業紹介という利用目的に対して“関連性のない”情報は、個人データ化を制限するべきである。

理由

OECDガイドライン(プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告)8原則の第2原則前段は、「Personal data should be relevant to the purposes for which they are to be used」としているように、利用目的に対して“関連性のある”情報しか個人データ化すべきでないとしている。

例えば、親の職業を本人がSNS等で公開状態で記述している場合に、これを取得して個人データ化し、データ処理によって職業紹介に係る本人に関する評価・決定に用いることは、OECDガイドラインのこの原則に反することになる。

日本の個人情報保護法及び職業安定法は、この第2原則前段に相当する規定を設けていないが、この原則の趣旨は、個人データのデータ処理による差別の防止にあり、職業安定法3条も、「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない」と規定しているところである。また、旧労働省の「労働者の個人情報保護に関する行動指針」(平成12年2月)は、「個人情報の処理に関する原則」として、「使用者は、労働者に対し、個人情報の処理を通じて、雇用上の不法又は不当な差別を行ってはならない。」としていた。

OECDガイドラインのこの原則への対応は、個人情報保護法の改正によってなされるべきであるが、この際、職業紹介事業の許可基準においても、「人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること」に限らず、親の職業その他の職業紹介という利用目的に対して“関連性のない”情報は、たとえSNS等において「本人により公開されている」情報であっても、個人データ化してはならないものとするべきである。

以上